肥溜めの中に咲く...

すべてを無に帰す臭さを発明しました

鮎子という女③

鮎子が「放心状態木村氏」として活動していたころは、氏を40代ぐらいのテロリストか悪魔だと思っていた。

しかし蓋を開けてみれば、中の人は音大に通う華奢な女の子だった。

僕が高校2年生(童貞)という言わば子供の頃に出会ったため、より大人っぽく見えてしまっていたのかもしれない。

しかし実際は2歳ほどしか年齢差が無かった。

鮎子は僕のことをどう見ていたかはわからないが、僕としては年齢差の精神的なギャップが埋まるまで随分と時間がかかった。

 

これから綴る内容は、お互いが色々と分別のつく社会人となってからの話。

先に断っておくが、鮎子との肉体関係を結ぶような結末はないのでそのホタテみたいなちんちんは閉まっておいてほしい。

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鮎子という女②

僕が子供から大人へと徐々に成長していく過程で、鮎子の中に潜む闇が少しずつ理解できるようになってきた。

 

例えば鮎子がよく話題に出す声楽家の年老いた教授についてだが、傍目に見ても生徒と教師の関係では無さそうだった。

なぜなら二人で熱海旅行に行っていたり、誕生日を祝い合っていたり。

鮎子は父親や祖父の代わりのような存在、と言っていたが、当時高校生の僕ですら不健全かつ奇妙な関係性だと感じていた。

 

鮎子と会話を重ねるごとに少しずつ素性が明らかになっていった。

母親は近所でスナックを経営しているとか、弟は身長が150cm台なのに暴走族の総長だとか。

しかし父親の真実については一切語らない。

 

時にアメリカ米兵で戦死したとか、時に獄中にいるだとか。

その時々、薬がキマっているときに限り明らかに嘘の父親を語る節があった。

 

きっと鮎子の闇の根源はそこにあるのだろうと、密かに推察するほかなかった。

 

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鮎子という女①

高校生の頃、楽天ブログにハマっていた。

簡単に個人のブログや掲示板を持てて、相互リンクのようなフレンドシステムもあった。

そして何よりハマったのが、ページ全体をHTMLやCSSで好きなように改変できること。

当時そういった言語に関する知識は皆無だったものの、夜な夜な分厚いFUJITSUのノートパソコンで調べながらホームページ作りに没頭していた。

 

お気づきの通りその時からすでに僕はストレンジな人格だったため、ヘンテコなページだった。

そしてそこに集まるフレンドもヘンテコだった。

 

その中に、「放心状態木村」と自称する謎の人物がいた。

どういうきっかけで出会ったのか今となっては失念したが、氏のホームページは陰鬱かつグロテスクで、年齢はおろか性別すら不明。

かつ言葉遣いや表現など、いたるところでカリスマ性が漏れ出ており、まだ社会を知らない僕からしたらそのアンダーグラウンドな雰囲気がダークヒーローのようで、とにかく憧れの存在であった。

 

 

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マッチポンプ

ある夏のことです。

その日は異例の厚さで、クーラーの冷却も追いつかず暑さのあまりパンイチTシャツで在宅勤務をしておりました。

当時の僕は、社長が座るようなふかふかで、デカくて、黒光りした椅子に憧れていまして、大枚はたいて数万円の椅子を購入しました。

そんなお気に入りの椅子で仕事をしていたところ、体勢を変えるたびにプ~ンと鼻をつくドッグフードのような臭いが。

最初は、台所?ゴミ箱?と疑いましたが、嗅ぎに行って戻ってくると、座った瞬間にまた臭いが漂う。

これはとうとう椅子に臭いがしみついてしまったのだな、と反省しました。

 

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憐憫と哀憐

父親とは一体何なのでしょうね。

家庭を守るとか、子を強く育てるとか、そういう画一的なものではなくて、もっと本質的な、もっと濃度の濃い、父親と定義される人々の根幹部分を、今や漠然となってしまったそのナニカを知りたかったです。

 

しかしソレを知るに至ることなく、僕は父親を捨てました。

 

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佐藤という男(2010年03月10日)

僕は幼少のころ、横浜市内名門のスイミングスクールに毎週一人でバスを乗り継いで通っていた。
右も左もわからない中、メキメキと力をつけ、一年足らずでタコさんチーム(クロールが泳げるグループ)まで昇格した。
褒められると伸びるタイプだった僕は、コーチに褒められることを糧に辛い日々を乗り越えた。
おかげで人並みに泳げる人間まで成長できたのだ。
飽きっぽく自堕落な親不孝者の僕だが、このことだけは母も誇りに思っていると思われると予想している。

それ以降は無事、親不孝を続けている。
そんな至れり尽くせり、文武両道な僕でも、ひとつ弱点がある。


水泳だ。


泳ぎの型は身についているが、どうにも体力が持たない。
25mを泳ぎ切れたのは、好きな子が見ていた高校2年のプールの授業が最後だろうか。

 

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